2023.04.23

季節の感染症

今回は、今の時期に流行する感染症の一つの話をしたいと思います。

心臓糸状虫症です。

この疾患は、蚊により媒介される疾患で、最終的にそうめんの様な寄生虫(フィラリア)が

心臓の内部、に右心系に寄生して循環不全をもたら疾患です。

重度な場合には、右心不全と溶血性貧血で生命が危険に陥り、亡くなることもあります。

現在は、月に一度の投与によって体内に寄生した幼若虫を駆虫できる様になったので、

蚊を見る時期、見なくなって1ヶ月後まで投薬(イベルメクチン)することで、

ほぼ100%予防できる疾患になりました。


この薬を開発した先生が2015年ノーベル生理学医学賞を受賞した大村 智博士です。

この様な駆虫薬が開発される前は、この疾患で多くの犬が命を落としていました。

手術や内科療法を行なっても予後不良のことが多かった疾患です。

様々な伝染病も、現在では的確に予防できるようになりました。

そのためには、予防医療を正確に実施する事が大前提になります。


今後も、動物が皆さんと、健康で末長く一緒に生活できるために知っていただきたい事を

書いてゆきたいと思います。

獣医師 南 毅生

Takeo Minami,DVM,MS,PhD,JCVS

豆大福の育児日誌 一覧へ戻る