2024.05.24

犬・猫の栄養学

炭水化物と聞いて何を思い浮かべますか?

糖質が多い、炭水化物は太る等、あまりいいイメージがないと思います。

しかし、炭水化物は大切なエネルギー源です。 以前も三大栄養素のお話をしましたが炭水化物は、消化酵素によって分解される糖質と分解されない繊維質に分けられます

 

糖質は、食べ物から摂取するとブドウ糖に分解されてエネルギー源になります。しかし、糖質から得られるエネルギーは他の栄養素から合成もできるので、糖質を食べることは必須ではありません。

それで、糖質=必要がないというイメージがついていますが、妊娠授乳期の母犬の場合は糖質摂取が必要になります。

そのため、総合栄養食のフードには必要なエネルギーを供給するための栄養素として、適量の糖質を含んでいます。 

 

繊維質は、消化酵素では分解されず、一部が大腸により発酵、分解されて腸内環境を整える役割があります。

また繊維質は、便秘や下痢を予防し、血糖値の上昇も抑え、それによって肥満を予防し、コレステロールの吸収を抑制してくれるなどたくさんの機能を持ちます。

 

なお、繊維質は、分解が早いものと遅いものに分けられます。とくにグアーガムやペクチン(市販のジャムによく使われます)など分解が早いものは腸内ガスを発生させる為、フードの種類によってはガスが多く出たりすることがあります。

これは、使われている原材料によるもののためで、特に心配する必要はありません。

 

このように、炭水化物は必須な栄養ではありませんが、たんぱく質の代謝を軽減する為に一定量摂る必要があります。ただし過剰に摂取すると肥満の原因にもなるため、市販のドライフードには、30%から60%の割合で含まれています。

また、猫は炭水化物を効率的に利用する能力が劣るため、35%程度と犬よりも少な目に含まれています。

また、炭水化物を抜くことはエネルギー源としては問題ないですが、腸内環境が崩れて下痢の原因などにもなります。

健康な体を作るために、炭水化物は必要な栄養素の一つですので、適切な量を与えるようにしましょう。

 

動物臨床看護師 髙田翼

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